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有頂天ホテル

三谷幸喜の最新作、『有頂天ホテル』

http://www.uchoten.com/

を観てきました。
面白かったけど、期待していたほどじゃありませんでした。
全体的に空騒ぎの感じ。
いや、人生なんて空騒ぎですから、
別にそれでもかまわないのかもしれないのですが、
ちょっと観ていて疲れました。
観ながら、何が問題になっているんだろう、と考えましたが、
多分、私の演劇学校時代の先生ならば、
「観察が足りない」と言うだろうなあ、という結論に達しました。

ロシアの演劇学校では、「人物観察」という項目があって、
キャラクターを極めるというか、
全くの他人に成りかわる授業をするのです。
私はこれが大の苦手でしたが、
大切なことだなあといつも思います。

人物観察なんていうと、
ちょっと堅苦しいものを思い浮かべるかもしれませんが、
なんということはない、観ていて、
「こういう人いるなあ」と思えるような、
リアリティがあるかどうか、ということです。

昔ながらのコメディアンは大抵お芝居が上手ですけど、
それは多分、普通の俳優より話芸に優れているということと、
客観的・かつ酷薄な人物観察をするからではないかと思います。
この『有頂天ホテル』では、西田敏行さんの演歌歌手が、
人物観察としては秀逸でしたが、
その他の人は、要求があるにも関わらず、
要件を満たせていないという印象を受けました。

間違った人物観察の格好の例をあげるとするならば、
オダギリジョーさん、唐沢寿明さんが、
今回の映画では目立ちました。
あ、あと耳が大きい人とか。
つまり、キャラクターが血肉になっておらず、
かつらも眼鏡もおかしなしゃべりかたも、
必然性がなく、「やってみました」程度のことになってしまっている。
意図はわかるにしても、そんなに笑えない。

何故かといえば、
全く架空の人物がキャラクターの基礎になっていて、
観る側が
「こういう人いるなあ」「こういう人ってこうだなあ」
と真に納得できるような、
そんな要素が一ミリもないからだと思います。
「らしさ」がない。
つくろうとしているだけに、かえって痛々しい。
そういう事ってあるのですよね。

役所浩二さんは、人物観察という点から言えば、
それほど器用な役者さんではありませんが、
そのかわり、自分の実感に立脚して演じられるので、
心理の移り変わりにあまり無理を感じさせないお芝居でした。
ただ、「見栄を張る」ということについての理解が足りなかったようで、
そこで演技の線が切れるというか、結果的に、
「・・・?どうして?」と謎が残るような感じに終わっています。
三谷幸喜さんの作品は、
人物と、その人物の周辺に起こる途方もない珍事によって、
表向きの顔本来のその人とがどんどん乖離していくところに
面白みがあって、
役者としての醍醐味はその辺にあるのだろうと思います。
とくに三谷幸喜さんの脚本は、
別に内面を深く掘り下げることは要求しておらず、
外面、人間関係、化学反応などが興味の中心となっています。
徹底した客観性、キャラクターつくり、リアリティというものは、
こういう題材の場合は絶対的なものではないかと思うのです。

今回の『有頂天ホテル』では
「表向きの顔」「本来のその人」も、
きちんとつくりあげることに成功していない俳優が多すぎるところに、
敗因があった気がします。

・・・あ、でもヒットしているのか。
全然敗れていないですね。失礼しました。




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