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ごきぶり

日本に帰ってしばらくした頃、
母と弟と野田さんと居間にいておしゃべりをしていたらば、
台所の床の上を黒い何かがスススッと何気なく横切っていきました。
その瞬間、私は絶叫しましたよ。

わあああっ
ゴキブリだあああっ

って。

するとみんなは慌てて、
アタフタと新聞紙やら洗剤やらを取り上げて、
どうにかして彼を拿捕しようとしましたが、
見る間にゴキブリは戸棚の裏側に姿を隠し、
手の届かないところに行ってしまいました。

「どうしたのかしら、
 ゴキブリなんて今までいなかったのに・・・」

と野田さんがクビをかしげると、
母が私に、
「あんたがつれてきたんじゃないの?」と暴言を吐き、
弟が爆笑しながら手を叩くことでその暴言を支えたものだから、
私はすっかり腐りました。

それにしても、ゴキブリほど嫌なものはありません。
私はゴキブリが世界で一番嫌いではないかと思います。
キライというより、怖いのですね。
あの毛の生えた足とか、
色とか、形とか、
思いうかべただけでも全身に鳥肌がたつのです。
ネズミとかクモとかトカゲとか、
それ以外の害生物系は意外と平気なんですけどね。

三日ほどして、
この逃げおおせたゴキブリが表に出てきた時、
家の中には私しかいませんでした。
ちょうどその時私はお皿を洗っていたものですから、
とっさに手元の洗剤をつかみまして、
ゴキブリに向かってぶちまけました。

ゴキブリは少し逃げましたが、
やげてカミナリに撃たれたようになって、
ピクピクと死んでいきました。

困ったのはそのあとです。
もう、怖くて、怖くてね。
直視できない感じと言うか、
その死んだゴキブリにたいして、
生きている時以上の恐怖を感じてしまったのです。
37年間も生きてきた、
その歴史の中で、
その死骸を片付けるのは自分であるという、
その責任ははっきり認識していましたが、
どうにもこうにも触りたくないのです。
ゴキブリを見ないようにしながら、
床に飛び散った洗剤はきれいにふきとりましたが、
どうしてもゴキブリに手をつけることが出来ないのです。

私はゴキブリをそのままにして、
居間のテーブルの上で本を読み始めました。
とにかく母が戻ってくるのを期待して、
15分ほど読み進めたわけですが、
やはりどうしても目の片隅にゴキブリの死骸が入っているのです。
母は一向に帰ってくる気配を見せません。
あんなに途方に暮れたことはありません。

まあ私も良い大人ですから、
15分ほど現実逃避したあとは、
えいやっと勇気を出して、
新聞紙でもってガサッとゴキブリをつかみ取り、
ゴミ箱に叩き込みましたけどね。

そして、昨日の夜のことですが、
またゴキブリが出たのです。
その時にはまたみんなが居間にいましたから、
大騒ぎになりました。
ゴキブリは台所から、
隣接している居間のところまで走り出てきて、
ソファの下に逃げ込みました。
私はもう全身が総毛だって、
居ても立ってもいられないほどでした。

母はとても勇気のある人ですし、
野田さんもとても実際的な人なので、
二人はちょっとづつソファをどかしたり、
荷物をどかしたりして、
ゴキブリを探し出そうとするのです。
で、私もこのままじゃダメだと自分を奮起させ、
床においてあったファイルを手に取って、脇にどけようとしたその時。
ポトリッ
と黒い何かが床に落ちたのです。

ぎゃあああっ

私が叫ぶと、
すぐ隣にいた野田さんが私にびっくりして、

きゃっ

と言いました。

すると母が厳しい顔をして私に言うのです。

「いい加減にしなさいっ。みっともない。
 ゴキブリくらいでなんですか。
 ご近所にも迷惑よっ」

ゴキブリはその後見つかりませんでした。

私は今日、その事をつくづく思い返して、
母の言う事は正しいなと感じました。

なるほど良い年をしてゴキブリくらいでキャアキャア騒ぐ女は、
良い女とは到底言えません。
可愛くもなければ賢くもない。
私が理想とする良い女のタイプは、
眉ひとつ動かさず平然と、
バシリッと一撃必殺でゴキブリをしとめ、
完全に一人でその遺骸を始末する、
完全自立型の女であることは間違いありません。
それはそうなの。

でも、そうは言っても、
怖いものは怖いし。
オランダの良い所のひとつは、
ゴキブリがあまりいない、ということです。
いたところであんなにスピードは出してこないし、
あんなに大きくもなければ黒くもないのです。
そのために、
ここ数年で私のゴキブリに対する免疫はだいぶ弱くなっていたということはあるでしょう。

母に怒られて、
すっかりしょ気た私は、
今日その恐怖心を克服すべく、
インターネットでゴキブリを研究しました。

恐怖とは無知のことである。
恐怖を克服するには、その正体をよくよく見つめることである。

私は「ごきぶり」でぐぐって、
片っ端からゴキブリサイトを開いていきました。
画像検索をかけてね。
そうしたらもう、鳥肌が立ちっぱなしなのです。
気持ち悪いし、
怖いし、
いやらしいし。

ネズミがハムスターに似ているように、
ゴキブリもカブトムシに似ているのだから、
最初に他の昆虫で目を慣らしてからのほうが良いかもしれない。
そう思ってカブトムシも検索しましたが、
最初にゴキブリの画像を見すぎたせいで、
カブトムシを見ても嫌悪感を感じる自分を発見しました。

ウィキペディアでは、
ゴキブリの生態を研究しましたが、
ゴキブリだけに恐ろしい逸話が沢山出てくるのです。
まず一番上に茶色いゴキブリの写真があって、
これも本当にいやったらしいですしね。

特にゴキブリに関する逸話・都市伝説という項はすごかったです。

なんでもね、
「ゴキブリは頭を切り落としてもしばらくの間は生きつづける」そうです。

生き続ける時間帯は、9日であったり、1-2週間であったり、27日だったりと、さまざまな主張がなされる。また、このあとに「その後餌が食べられないために餓死する」と続く場合がある。

まあ都市伝説なのでしょうけど、
ぞっとしてしまってね。
本当に、ぞおおおおおおっとしてしまって。
心の底からゴキブリが怖くなりました。

今回は時間があっという間に経ってしまい、
本当にオランダに帰るのが名残り惜しい限りなのですが、
ゴキブリのことを考えると、
やっぱりオランダもいいなと思っています。

























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