FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

親切

昨日はアムステルダムに泊まりました。
国立博物館を一度、じっくり観てみないとな、と思いまして、
ついでにアムスの最近できたヒルトンホテルに泊まりたくって、
ついでにアムスのカフェでお茶でもしてみたくって、
まあ、一言で言うと、遊びたくてね

今日は国立博物館でイヤホンガイドを借りて、
六時間ぶっ続けで博物館の中を歩き回りました。
なかなか学ぶべきことが多い充実した時間でしたがね、
退館時間が来るころにはもう頭も体力もからっぽになって、
一人のおばあさんとして博物館を出ました。
鏡は見なかったのですが、
あの時の私は確実にシワだらけだったと思います。
そのくらい疲れました。

それで、国立博物館から中央駅に向かうトラムに乗ったのですが、
トラムは人でぎゅうぎゅう詰め。
座る場所なんてどこにもないのです。
おばあさんは本当に疲れていましたから、
空いている椅子を探して必死になりましたよ。

そうするとね、奇跡のように、
ぎゅうぎゅう詰めのトラムの中に、
ひとつだけ空席があるのです。
私はソーリー、ソーリー、と言いながら、
急いで人をかきわけてその席に座りました。
普段は若いですから、こんな意地汚い事はしないのですよ。
でも、その時にはおばあさんだったものですから。

で、どうしてこんなに混んでいるのに、
ここだけ空いていたのかな、ラッキーだったな、
と思ってふと横を見ますと、
横にいるのは仕事を終えたばかりとみえる、
ペンキ屋らしき男の人でした。

ああ、私、またやっちゃったのかな。

瞬間的にそう思いました。

アムステルダムで、満員のトラムの中で、
何故かひとつだけ誰も座らない席があるとしたら、
それにはかならず理由がある。
そうなのです。
私は結構な頻度でそれを幸運と勘違いして、
とんでもない目にあったりするんですよね。

ホームレスの横に座ったりとか、
明らかに変な人の横に座ったりとか、
泥酔している人の横に座ったりとかね。

私の横に座った人は、
一見普通だけれども、
妙に怖い空気感の人でした。

ペンキで汚れた白い作業着を着ていて、
顔に白い飛沫が散っていて、
めくりあげた袖からは一面のタトゥーが見えています。
妙に強面というか、
筋肉モリモリだし、
或る意味恰好いいけど、
転び方によってはすごく怖い感じの人なのです。

いや、そんな言葉では説明できませんね。
あの妙な雰囲気は、
今にも爆発しそうな静かなテンションは、
ちょっと説明しがたいものです。

怪しい人の近くに位置してしまった時は、
あっという間にその場を離れるのが私の人生方針です。
何のためらいもなく席を外すことによって、
私は十年以上にもなる海外生活を無事に送ってきたのです。

ただね、その時の私は、おばあさんだったんですよね。
立ち上がる体力がなかったの。
しかも、そのペンキ屋は酔っぱらった風でもありませんでしたし、
イヤな臭いをさせているとか、
大声でわめき散らすとか、
そういう分かりやすい「印」がなかったんですよね。

で、私は彼の隣に座り続けました。
彼がふとこちらを見る度に、ギクリとしながら。

ところが、途中でふと気がついたのですが、
目線をちょっと下に向けてみると、
彼のズボンのチャックが大きく開いているのですよ。
もう、ぽっかりと大きく開いているのです。
そうして、強面のペンキ屋は全然それに気がついておらず、
相変わらずの人を殺しそうな目つき・または今殺してきたみたいな目つきで、
窓の外を眺めているのです。
ここから私の新しい悩みが始まりました。

言ってあげたものか、どうか?

「社会の窓が開いていますよ」と一言いってあげるのが、
親切なのは間違いないじゃないですか。
普通だったら、さりげなく言ってあげるんですけどね。

でも、それによって、
この目つきの人に絡まれたら、
私はもう老婆ですから、逃げ切れる体力はないのです。
アムステルダムにいる変な人は、
日本にいる変な人と違って内向的ではありませんから、
下手にチャックが開いてるとか指摘すると、
場所が場所だけにね。
どういう方向に転ぶか分からない面があります。
むしろ、わざと開けている可能性もあるし、
指摘することで火をつけちゃう可能性もあるし。

だけど、教えてあげると、
お礼を言う笑顔が意外に可愛らしかったりする場合だって、
ないとは言えないんですよねえ。

で、彼の股間をチラチラ気にしながら、
言うべきか、言わざるべきか、
私はずっと悩んでいたのです。
周りの人も誰一人口を開かないですしね。

せっかくの強面も、
その事によって大分可哀そうな強面になりました。
結構本気でヤバそうな雰囲気を発しているのに、
社会の窓が開いているというね。
しかも誰一人それを指摘できないというね。

なんだろうなあ・・・。
やっぱり、不良とかヤクザとかチーマーとか、
関東連合とかね、
それから単に目つきのヤバい労働者とか、
自分で本当に気をつけていないといけないんだろうなあ、
とつくづく思いました。
誰も言ってはくれないんだもの。

そんな事を思いながら、
社会の窓を開けたままのペンキ屋を見捨てて、
私は無事にロッテルダムに帰ってきたのでした!



スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Kachika

Author:Kachika
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
日記
64806位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
17944位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。