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母親

私の母は2日にオランダに来て、9日に日本に帰りました。
ちょうど一週間の短い滞在です。

弟がオランダに来るのは初めてですが、
母は二回目。
もともと海外にはまったく縁のない人でしたが、
私がロシアで暮らし始めるようになるあたりから、
中国に行ったり、
ロシアの私のところでひと月近く暮らしたり、
フィンランドに弟と行ったり、
オランダに来たりするようになりました。
もともとそういう事が好きなのに、
貧乏暮らしで出来なかっただけなのでしょうね。

スキポール空港まで送っていくと、
母はあっさりと手を振って別れていきましたが、
後姿が何やらヨタヨタ、フラフラしていて、
まあ可哀そうでしたね。
多少高くても、
弟と一緒の日のチケットを取ってやれば良かった。
ちょっとだけそう思いましたが、すぐに、
弟と一緒にいたって別に安心なことは何もないもんな。
と思い返しましたよ。
母のほうがよっぽどしっかりしていますから。

兄・私・弟という三人の子供に、
母は絶大な自信がありまして、
「私の子育ては完璧だった!」的なオーラを周囲に向けて出してしまう訳ですが、
言われる側の子供たちはもうちょっと自分たちに客観的ですから、
母が子育て論などを他人に一席ぶつたびに、

いやいや、そんなに良いもんじゃないよ・・・?

と制止したい気持ちで一杯になるのです。

でもねえ、母親ってありがたいものですね。
いつでも子供の事を考えているのです。
こんな風に肯定的に自分という人間をとらえてくれるのは、
母親だけでしょうね。

今回もね、
弟と私に囲まれて楽しそうに食事していると、
突然さも残念そうに、
「ああ、お兄ちゃんがここにいたらねえ・・・」と言うのです。
どんなに楽しかったかしらねえ、と。
そして、兄の事をかわいそう、かわいそうと言うのです。
来られなくて可哀そうって。

ところがね、
母は兄の事を怒っているのですよ。
オランダに来るちょっと前にクリスマスがありまして、
兄が四歳になる甥っ子を連れて、
母のところにやってくるはずだったんですって。

母や弟や母と一緒に暮らしているノダさんや、
みんなそれなりに楽しみにして期待して、
母は甥っ子のために、
特別にチョコレートの家を買ったそうです。

母曰く、「高かったのよ。大きくて、すばらしい家だったわよ!」

ところが、兄が、
前日にドタキャンしたそうです。
理由はよくわからなくて、
来るのがしんどくなったからじゃないかって。

今でも母の家の居間にはチョコレートの家があるそうなのですね。
子供が来ないのだったら、
どうすんの、こんなもの。

オランダに来るなりその話をして、
兄の話と言うとまずその話をするのです。
やっぱり心がずっとそこに引っかかっているみたいなんですね。

「あー、ひどいね。
 あいつはひどいよ」
「本当に自分勝手だよね。
 自分の都合しか考えてないね」
「そのチョコレートの家を持ってライブに行って、
 舞台の上のツトムにその家をぶつけてやればいいよ」
「そのチョコレートの家を、
 ツトムのパン屋の前に「サヨナラ」ってメモをつけて置いてくればいいよ」

私と弟は口々に兄の悪口を言い、
その悪口に母は、

「そうね、そうね!」

と憤懣やるかたないと言った感じで頷くのです。
弟に、

「でもお母さんも、電話がかかってきた時に、 
 家を買って待っているんだという話をしないとダメだよ。
 言わないとわからないんだから」

なんて言われると、

「でもね、言うのがイヤになっちゃうのよ・・・」

と悲しそうにしんみりムードで返す訳です。
そうして、ふと、

「ああ、ここにツトムがいないのは本当にかわいそうね。
 いたら絶対に楽しがるでしょうに。
 あの子がこういうの、一番好きだから」

振出しに戻る訳です。

いやあ、この場にもし兄がいたら軽い査問会みたいになっていると思いますけどね。
自己批判しろ!と四方八方から言われてますよ。
ま、M揃いのうちの家族の中でも兄が一番のドMですから、
そういうのが一番好きなのは間違いないでしょうけどね。

いやー、何でしょうね。
私なんかもこういう事、一杯あるのでしょうね。
知らずに随分無神経なことをやっちゃっているってことはね。
見離されていないのはありがたい事です。

母の心は被害者意識でいっぱい。
子供にやられたことを逐一覚えていて、
折に触れ思い出しては悲しみに浸るのですが、
にもかかわらずいつでも気にかけているのです。
矛盾に満ちたよくわからない愛情だなあ、と、
子供がいない私はしみじみ思いますけれどもね。
ま、それに支えられて私たちが生きているのは間違いない。

チョコレートの家については、
もうこれは母の悲しみの象徴みたいなものですから、
兄に何とかしてもらいたいものです。
もうちょっと頻繁に、
甥っ子を連れて母の家に行ってくれるといいんだけど。
母は結局のところ、待っているんだから。

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