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スーパーにて

昨日、私のオランダ人とスーパーマッケットに行きました。

時間は丁度午後四時くらいで、

比較的早い時間帯だったのですが、

土曜日だったせいか、わりと混んでいてね。

レジに二人で順番待ちをしていたわけなのですが、

もうそろそろ私たちの番、という時になって、

後ろからぐいぐい割り込んで、前に進んでいくスリナム系の男がいるわけです。


浅黒い肌、顔中を覆う無精ひげ、ガリガリに痩せた身体、

薄汚れたジャージに黒の革ジャン姿、

黄色い歯、そして片手に握りしめたカラフルなキャンディ。

まあ一見して、心の中の警報が鳴り響くタイプです。


で、この男が、

「通してくれ」と言いながら、レジの方向にぐいぐい進んでいくのです。

こういう時、私は事なかれ主義なのでさっと通すのですが、

私のオランダ人はもっとアグレッシブなので、

「おっ。横入りか?横入りなのか?

と思った瞬間に、彼を通さないように前に立ちふさがりました。


しかし、その彼を押しのけるように進んでゆくスリナム人。

その押しのけるスリナム人によって前の方へ運ばれてゆく彼氏。

このバトル、どういう展開になるのだろうと、

私は固唾をのんで見守りました。

するとね、


スリナム人の男がとうとう口を開いて、

「おいおいこの野郎、いい加減にしろよ。

 てめえの馬鹿な目をちゃんと開いて状況を見ろ」

と言うのです。

そうして彼は、レジの一番先頭にある荷物を指で指して、

「俺の番なんだよっ」

と言いました。

そう、ちょっと買い忘れた物があって、

取りに行っただけだったのですね。


彼氏としては前の方に立ち尽くしたまま、

「そ、その言い方はなんだ・・・」

くらいしか返事が出来ないわけです。

日本人だったらまず謝っていると思いますが、

そこは欧米人、自分が悪くても謝りません。

でも周り中から、

「馬鹿な慌て者ねえ」的な視線を浴びていました。


やっぱり、さっと謝って終わらせるというのは、

必要な生活技術ですね。

「ああ、ごめん、ごめん!」

と言ってスカッと退却すれば問題ないのに、

彼ときたら、ぐずぐずとその場に留まって、

怖い顔をして黙っているのです。

私のオランダ人は190センチ以上身長があって、

しかも最近肉がついて巨大化してきているので、

彼が変なところで凍ると、空気がとまるようなところがあります。

みんな何が起こったのかと見るし、

スリナム人のほうは嘲るような顔をして罵り続けるし、

レジの女の子は困っているし、

彼氏の恥は募ってゆくし、

まあ膠着状態と言うのはこのことでしたね。


で、この男が行ってしまうと、

次の次が私たちの番でしたが、

私は何にもなかったような顔をして、知らんぷりしていました。

やっぱり、一番居心地の悪い思いをしているのは彼ですからね。

すると、私のオランダ人がそばに寄ってきて、

「ねえ、今の男、見た?」と、ひそひそと私に聞くわけです。

「何ていったか、聞いてた?」とね。


で、私は、

だけどあなたが悪いのよ、だって勘違いしたんだから!

と言いかけましたが、

なんだかそれも追い討ちをかけるみたいで、

可哀想になってきちゃってね。

ちょっと元気づけてあげたいと思ったわけです。


その結果、私の口から飛び出た言葉は、

「何、あの男?

 嫌な奴!

 まるっきりのジャンキー顔ね。」

 というものでした。

すると彼は気弱に、

「ジャンキーとは思わないけれど・・・」

と返事をするので、

私は、

「ああ、そう?私はまた、まるっきりジャンキーだと思っちゃった。

 私もてっきり、彼が横入りするのかと思ったしね!」

と言い募りました。

「そう、僕は横入りかと思ったものだから・・・」

誰だってそう思うって!

 だってあの風体だもの!」


で、彼の肩をぽんぽんと叩いて、

支払いを済ませて、

ふと目を上げるとね。


レジの直ぐそばのカウンターで、

さっきのスリナム人がカゴから荷物を袋へ詰め替えているわけです。

すぐそばにいるんですよ。

うつむいて、黙って荷物を詰め替えているわけです。

で、特に何も言うでもなく、にらむでもなく、

知らん振りして、こちらを見もしないのです。

聞こえていなかったとしたら超ラッキーですが、

どうなのかしら。


もう私はクヨクヨしちゃってね。

あのスリナム人は特に何も悪くないのに、

ジャンキーとか言っちゃった。

誰だってそう思うって。


そのうち頭の中で、

でかい欧米

やせた植民地

追随する特別白人(日本)

みたいないやな縮図が展開してきて、

いやあ、私は憂鬱になりました。


まあでもさ、

あんなジャンキーみたいな見ず知らずのスリナム人よりも、

生活全般の世話になっているオランダ人のほうが、

私にとっては大切だもの。

一宿一飯の恩義があるんだもの。

そして、可哀想だったんだもの!






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