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チェスとセオリー

私は2,3年ほど前から、チェスに凝っています。
ICC(Internet Chess Club)というところの会員になると、
ネット上で世界中の人とチェスが楽しめるのです。
これが、なかなか中毒になるようなものなのですよ。
私は休日なんか、一日チェスをやっています。

ロシアでは、
チェスはスポーツとしてカテゴライズされています。
サッカー、バスケ、ホッケー、チェスみたいな。
実際、チェスの試合をしていると、
頭の働かせ方は限りなくスポーツに近い気がします。
特に5分とか1分とか短い時間で行われるゲームは、
かなり躍動的です。
私はネットでチェスをやるので、
相手の顔が見えないんですよね。
だから、ずっと
「チクショー!ファック!おっしゃあ!」とか
罵り・わめき・興奮しています。
私、スポーツは全然だめなんですけど、
チェスをやるようになってから
部活でサッカーとかやる人の気持ちが理解できるようになりましたよ。
「メイトォ!」っていうときの気持ちは、
「ゴォォォォォル」っていうのと基本的に同じなんですよ。

chess.jpg


だけどね、
もう2,3年も夢中になってやっているのに、
なかなか強くならないんですよね。
ICCのなかで一番強い人は3800くらいのレーティングですが、
私は一番いいときで1000くらい。
最下層ですね。

なぜかというと、参考書を読んだり、
講習会に出たりして、セオリーを学ぶことをしないからなのです。
チェスの参考書って、面倒くさいですからねえ。
読んでいるうちにイヤになってしまうのです。
また、日本ではチェスは普及していないので、
(将棋がありますからね)
チェスの講習会って高いんですよねえ。
「ロシア語の辞書は英語のより高い」みたいな話です。

普通にゲームだけしていても、
経験が積み重なってくれば、
見えてくるものはそれなりにあるのですが、
やはり1000以上にはいきません。

チェスの指し手って、
最初の十手くらいまではもう全部研究されていて、
型があるんですって。
例えば私がこれまでゲームをしてきて、
ぼんやりと決まってきた最初の3手くらいがあるわけですが、
最近それが「イタリアン・オープニング」という、
定石であることがわかりました。
オープニングはそれだけではなくて、
フレンチ・オープニングとか、
イングリッシュ、シシリアン、スコッチとか、
いろいろ、いろいろあるのです。
全部試してみるべきでしょうね。
どのオープニングも、
わかってみれば簡単なことでした。

なんでもそうですけど、
セオリーを学ぶということは、すごく大切なことだなあと思います。

20060113001642.jpg


ところで、私はロシアの演劇学校に通っていましたから、
スタニスラフスキー・システムという演劇教育システムにのっとって、
勉強していたのです。
不真面目だったのでそれほど身につきませんでしたが、
これもやっぱり、セオリーを甘くみたからでしょうね。

スタニスラフスキーって、チェス巧かったんじゃないかなあ、
と思います。
スタニスラフスキーシステムは、
演劇の先人たちの思考と実践の積み重ねなんですけど、
その積み重ね方が論理的で、チェスみたいですよ。
ロシア人はチェス、ムチャクチャ強いですからね!
これの次にこう来て、それがこうなるから、
次はこう来て、みたいな。
非常に戦略的というか、ごくごく論理的なものです。
本当なんですよ!

チェス・オープニングと同様、演劇の基礎も、
わかってみれば当たり前のことばかりです。
舞台の上で人が最初に経験することなんて、
どれも似たり寄ったりですから。
才能のあるなしや、資質の違いはあるけれど、
声や身体が震えたり、意味が取れなかったり、
自分の思ったように声や身体が動かなかったり。
または、自分の役や作品に対して、
どう近づいていけばいいのかわからなかったり。
日本の演劇界の伝統は「こっそりみて、盗む」だったりしますけど、
別にそんなことしなくてもね。
そんなに大袈裟な事じゃないだろう、
といつも思うわけですよ。

20060113002339.jpg
読め! 
(スタニスラフスキー『芸術におけるわが人生』)

日本の演劇界というのは、
セオリーがないので、
やっぱりレーティング1800くらいですね。
1800というと、素人にしては強いんですけどね。
才能がある人が、才能と経験だけでやっている感じです。
でも、そういう人が、
もしセオリーを踏まえるようになったならば、
グラスマスチェルを輩出することが出来ると思います。

自分が創造性だと思っていることって、
意外と普通のことだったりしますからねえ。
または、偉い人が絶対の真実だと思っていることが、
その人の才能だけに通じる理屈だったりすることもありますし。
で、その普通のことや一元的な理屈を自分で編み出すのに、
偉い人のつき人をしながら10年かけるというのは、
一番創造性のある10-30代を
それこそドブに捨てる行為ですよね。

演劇はチェスのように勝ち負けがはっきりしないぶん、
方法論もはっきりしませんが、
でも「良い」と「悪い」は確実にありますよね。
そして、その間にあるものは、
日本で信じられているほど掴みにくいものでも、
霊妙なものでも、偶然のようなものでもない気がします。

日本にも早く、優秀な演劇教育者が出てきてほしいです。
ちょっと勉強は嫌いだけど才能はある俳優志願者に、
難しいことを噛み砕いて、本質だけ伝えるような。
今のレーティング1800が最高の世界で、
「お前のセオリーはだめだ」
「お前のセオリーは本流じゃない」と
1500同士が潰しあっている演劇界は、
ちょっとキツイですよ。

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