FC2ブログ

セローフ

画家と時計

 画家のセローフは脇水路へ向かった。何故彼はそこへ向かったのか?ゴムを買うためである。何故ゴムを?自分用に小さなゴムを作るためである。何故小さなゴムを?ひっぱり伸ばすためである。そう。まだ何か?それではもうひとつ。画家のセローフは自分の時計を壊した。時計は正確だったのに、セローフはそれを手にとって、壊してしまった。それからまだ何か?何もねえよ。何もないし、これでぜんぶだ!それから自分の汚い面を、いらないところに、つっこんでくるんじゃねえよ!ああ、神様仏様!
 ひとりの老婆が住んでいた。生きて、生きて、囲炉裏で焼かれた。ざまあみろ!画家のセローフは、少なくとも、そう結論を出したが・・・
 おや!もっと書きたかったのだが、インク瓶がどこかへ失せてしまったよ。

(1938年 10月22日)


ははは。
罵ってるなあ。
このわけのわからない爆発は一体なんだろう。

ちなみに、セローフというのは、実在のロシア人の画家です。
ヴァレンティン・セローフ。
レーピンの弟子で、師匠のレーピンほど有名ではありませんが、
熱狂的なファンを持つ天才的な画家です。
レーピンほど有名になれなかったのは、
おそらく、時代が悪かったんでしょうね。
でも、日本ではもしかしたら、
レーピンなんかもローカルな作家に入っちゃうのかな。

Serov-thumb.jpg

セローフの絵

セローフが生まれたのは、1865年。
ハルムスは1905年生まれですから、
まあ、セローフのほうがだいぶ年が上ですね。
二人ともペテルブルグ出身です。
この文章が書かれたとき、
セローフはもう押しも押されぬ大物作家だったでしょうから、
この文章を読んで、一体どういう反応をしたのでしょう。

あ、セローフは1911年没でした。
ということは、この時とっくに亡くなっていますよね。

あ、しかも、この文章が最初に発表されたのはパリですね。
1985年のことです。
ということは、やっぱり、
ハルムスさえも亡くなっていますよ(笑)
死後発見されて、奥さんによって保管されていた原稿ですね、多分。

ロシアの作家がロシア国内で自由に著作物を出版できるようになったのは、
本当にここ最近なんですよね。
ブルガーコフもハルムスもソルジェニーチィンも、
みんな海外で出版しているのです。
もっとも、闇では出回っていたらしく、
私の演劇学校時代のロシア語の先生は、
大学生のとき、
ボロボロになって読み古されたブルガーコフの闇本が、
さらに回し読みされていて、自分も読んだと言っていました。
そんな時代もあったんですねえ。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Kachika

Author:Kachika
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
日記
63888位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
17570位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR