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他人たちの戦争

最近の新聞やテレビは、
ウクライナの親露派に撃ち落された飛行機の中にいた人々の顔写真であふれています。
どの人もほんわか楽しそうに映っていて、
例えばシリアの犠牲者なんかが死ぬ前から眉間にしわを寄せて、
見るからに不穏な空気を漂わせているのに比べると、
オランダ人の犠牲者たちは平和そのもの、太平楽な雰囲気を漂わせているのです。

オランダは言っても平和で豊かで福祉も充実していますし、
新しい王様は即位したばかりでマキシマ王妃は綺麗ですし、
ワールドカップではオラニエ軍団が良い所まで行きましたし、
夏は久しぶりに暑くて青天が続いていますし、
オランダ人はひと月くらい続けて休みを取る権利を持ってますから、
さあ、じゃあいっちょ海のあるところにでも行って、
辛い料理でも食べながらコンガリ焼けてくるか!
と子供たち連れてバカンスに出た、
その矢先の死。

戦争に巻き込まれて死んでしまうなんて。
そんなこと、思ってもみなかったでしょうね。
しかも戦地のボランティアとか戦場カメラマンとかいう訳ではなく、
全然戦争と関係のない場所に行こうとしただけなのに。
ウクライナの上空を通る事を意識した人すら、
どれだけいたのかという話です。
死亡した298名の中の実に193名がオランダ人、
80名は子供です。
呆然として、現実感がなく、
怒りをぶつけようともウクライナやロシアは遠くて、
本当のところどっちがやったのかも定かではありませんし、
どうすれば良いのかわからない現状があります。

真夏の事で、墜落現場周辺の気温は35度近く、
すぐにでも遺体の回収をしなければいけないのに、
現場には近寄らせてもらえず、
親露派兵士たちが乗客の持ち物をあさっているという情報もある。
それだけでも何とかしてくれ!とオランダ側が声を荒げても、
プーチンは、
ううーん、そうですねえ、お気の毒です、
ベストは尽くしますけどねえ、
やったのがうちかどうかも分かりませんしねえ、
みたいに適当にいなしつつ、
オランダの頭越しにアメリカと話している印象です。

それにしても、
戦争というのは遠い所で起こっているようでも、
実はそれほど遠くもないのですね。
だって実際に何の関係もない国の人が死ぬのだから。

私は本当に空恐ろしく感じています。






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ヘニーおばさん怒る

今日の夕方、Tante Henny(ヘニーおばさん)から電話がかかってきました。
この間アントワープに一泊旅行に行った際、
駅からはがきを送ったのだけれど、そのお礼ですって。

タンテ・ヘニーは私のオランダ人の父方の伯母さんで、
御年86歳。
独身で、子供もなく、一人暮らしをしています。
若い頃はアフリカで研究員をしていただけあって、
頭はまだまだシャープですけれど、
リュウマチを患って歩けません。

この間、私のオランダ人のお母さんが電話をくれた時に聞いたのは、
タンテ・ヘニーは短期間に3回転んで、
そのうちの1回は深夜にトイレに行った時に転んだものだから、
朝になるまで発見されずにひと晩じゅう床に転がっていたという話。
もともと自立心のある人だから、
迷惑をかけたくなくて朝まで電話するのを待ったという訳ですね。
夏だからそこまで寒くはなかったでしょうけど、気の毒な事でした。

私はもともと私のオランダ人のお父さんの一家が好きなのです。
知的で礼儀正しくて、心が温かくて、なんかちょっとユーモラスで、
のんびりしていてね。
特にヘニーおばさんは、
私がオランダに来たばかりの時、自分の家に招待してくれて、
何くれとなく気にかけてくれた人でした。

私が来たばかりの頃にはまだ元気で、
歩くのも話すのも自由で、
本当にヨーロッパのチャーミングなおばあさんの典型だったタンテ・ヘニーですが、
近年は年老いてきて、
傍から見ていてもコントロールが利かなくて困っているのがわかります。
まず歩けない訳だし、
何か落しても自分で拾えないし、
物を食べればこぼしてしまうし、
口を開けば入れ歯が落ちるし、
話を聞けば同じ話を繰り返してしまうし。
しかもタンテ・ヘニーがいかに自分でそれを恥じているのかがわかるのです。

彼氏の健康で体育会系でバカでかい末の弟が、
それを見て笑ったりするから、
タンテ・ヘニーはもうクリスマスパーティーにも出てこないで、
家でひっそりしているのです。

彼氏のお父さんのディックには、もう一人独身の姉がいるのですが、
このタンテ・ティティはアルツハイマーを発症して、
ついこの間施設に入りました。

私もやっぱり結婚していないし子供もいませんし、
どこか引っ込み思案でプライドが高い所がありますから、
タンテ・ヘニーにはまさしく自分の将来が見えて、
他人事とはとても思えません。

「ハガキをありがとう、とても綺麗だったわ。
 美術館に行ったって書いてあったわね、
 オランダ語がうまくなったわねえ」

タンテ・ヘニーは電話の向こうで朗らかです。
矜持があって、泣き言を言わないのです。
私のオランダ人にもこういう所がありますけど。

「ええ、そうなんです。
 向こうでは道に迷ってしまって、
 しばらく変なところをグルグルしていましたけど、
 おかげで面白い道を発見できました」
「ヒッヒッヒッヒ」

タンテ・ヘニーの笑い方はちなみに、
ディズニーアニメなんかに出てくる魔女の笑い方です。

「ところで、ヤニーに聞いたんですけど、
 三回転んだんですって?
 大丈夫ですか?」

と私は聞きました。
タンテ・ヘニーは一瞬黙りましたが、すぐに笑って、

「大丈夫、もう痛くもないし。
 明日は美容院に行って髪を切ってもらうのよ、
 ボランティアの人に連れていってもらうの。
 まったくのタダなのよ、いいでしょう」

と話を変えました。
そこで止めとけばよかったものを、
私は更に続けたのです。

「施設に引っ越した方がいいんじゃないですか?
 人がいつもいる所に。
 だって危ないでしょう?」

「いいえ、私は施設には行きたくないの。
 死ぬまで自分の家にいたいのよ」

タンテ・ヘニーはきっぱりといいました。

「でも、人がいないところでまた転んで、大怪我でもしたら・・・」
「面倒見てくれる人はいるし、一人のほうがいいし、
 自分で出来ることもたくさんあるのよ」

そのあと、タンテ・ヘニーはパアアアッと早口で何か言った後、

「という訳で、さよなら」

と言ってあっという間に電話を切ってしまいました。
そんな切り方をする人じゃなくて、
いつもくどい位に別れの挨拶をする人なので、
ああ、怒っちゃったんだなあと思いましたよ。

まあそう、施設に入れなんて事は、
皆から山のように言われているんでしょうね。
そんな要らない忠告はもう聞きたくもないんだと思います。

私のオランダ人に、

「ヘニーを怒らせちゃった」と言ったら、
「そうだね、でもさ、施設じゃタンテ・ヘニーは幸福にはなれないよ。
 だって行きたくないんでしょ?」

と言っていました。
彼は人の考え方を無理やり変えようとしたりしないのです。

まあ、タンテ・ヘニーは随分長生きもしましたし、
頭がはっきりしているのですし、
彼女が自分で死に場所を選んでいけない訳はないのです。
無理やり施設に入れれば、周りは安心でしょうけど、
彼女自身の意志はその時点で周りの思惑に飲み込まれていくことになる。
やっぱり幸福じゃないでしょうね。

ああ、余計なお世話だったな。
要らない事を言った、本当に。
彼女の意志がこれだけ堅いのだから、
その決断を支えて味方になってあげる方向で考えるべきでしたよ。
善意っていうのは、よくよく考えた上じゃないと危険ですね。

私だったらどうして欲しいのかな。
どうしたいのかな。

考え込んでいるところです。


野々村議員問題はうさんくさい

号泣し、意味不明なことを叫ぶ野々村議員があまりに面白いものだから、
YouTubeで彼の動画を探しまくり、
夢中になってみました。
久々にワイドショーに大型の新人が現れた的な感じで、
いやあ、笑いましたよ。
すごいな、日本。

でもそんな事を思いながら観ていると、
ふと、動画の投稿主がすべて、
sefyia zuneshという名前のアカウントであることに気がつきました。
外国人?なんて思いまして、
このアカウントの動画を観てみると、
野々村議員用に開いたアカウントらしく、
動画は野々村議員のものばかり。
その後、最新投稿動画として2,3本の無意味な猫の動画が投稿されているだけでした。



ふうむ。
変だね

私のミステリー大好き・陰謀大好きな部分が、
葉巻に火をつけながら言いましたよ。

これsefyia zunesh、どこかの工作員かなんかなんじゃないの?
おかしいでしょ、一個人が最初からこんなに色々な番組の動画をストックしていて、
全部編集して、こんなに短期間でアップするなんて。

でも、工作員だとしたら、何のために野々村議員をこんなフィーチャーするのさ。

私の心の中のワトソンが私に問いかけます。

そうね、きっと何かの煙幕ね。
この大騒動に乗じて、隠そうとしている何かがあるのよ、
この時期だったら何かなあ、政治的に重要な何か、何か・・・

で、ちょっと考えて、びっくりしましたね。

ああ、集団的自衛権か!とね。

安倍首相は7月1日に集団的自衛権発動の要件について、
憲法の解釈を変える閣議決定をしました。
その同じ7月1日に野々村竜太郎県議は自ら記者を集めて会見を開いているのです。

あの号泣マイクパフォーマンスによって、
この問題はもともとの問題が持っているポテンシャル以上に注目を集め、膨れ上がりました。

今やもう、国民の関心は一時でも笑い過ぎで腹筋を崩壊させてくれた野々村県議に集中し、
集団的自衛権なんていう面倒くさい問題は、
どうせどうにもならないし置いておこうかなという気分になっている。

・・・野々村県議はわざとやったのかな。あの会見。

もともとすごく不自然な会見でしたよね。
最初から記者たちを煽っているような、あの態度とか。
自分から会見を開いておいて、言う事が何にもない事とか。
いわゆる「チェ・ジウ飲み」とか、
チョコチョコテレビ的・インターネット的においしい小ネタを挟んで、
目をそらさせない演出とか。

で、sefyia zunesh氏ですが、
今日見たら、野々村県議関係の動画はすべて削除され、
猫の動画一色になっておりました。
同じ日同じ時刻に、続けざまに投稿した猫動画。
でも今日はすでに他の人たちがアップした野々村関係動画が一杯あって、
観ようと思えばそこで観られるから、
sefyia氏にとってはごく自然なフェードアウトが出来ていましたね。
私にとっては不自然そのものでしたが。

もしどこかの工作員だとしたら、CIAかな。
もともと集団的自衛権の発動について、
憲法解釈みたいな大きな枠組みまで変えざるを得なかったのは、
アメリカの強い要請があったからでしょうし、
官僚と一致団結・協力して、
国内の空気造りにあたったのかもしれません。

あと数日経ったら、このアカウント自体がなくなるのかもしれません。
なくなったら本当にCIAだね(笑)

今後、野々村県議がどういう身の振り方をするのか、
私は今や興味津々。
どういう取引でもってあの会見に至ったのか。
誰の主導でもってあの会見に至ったのか。
この会見の模様が津波のようにワイドショーを駆け抜け、
集団的自衛権についての批判を飲みこんだのち、
世間が忘れた頃に野々村県議はどうなっているのだろうか。

グリーンカード取得or死んでいたりして。
または田舎に大豪邸を建ててるとかねえ。

マスコミがこんなだから、
一般市民はもう一生、絶対に知りえない事なのだろうけれど、
誰がどう動いて、どういう構図なのかというようなこと、
もーう、知りたいわー。


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