煤払い

暮れも押し迫ってまいりまして、
もうあと一日で新年かあ。
そんなわけで、怠け者の私も煤払いの真っ最中。
一年間のヨゴレを、元旦までに洗い落とそうかなあと思っています。

でもそうはいっても、
朝パソコンを起動させたら、
なんとなく日本のテレビが見たくなってね。
『医龍2』なんて見始めてしまいました。

『医龍』には、岸田一徳さんが出ているのです。
私、岸田一徳さんて好きなんですよねえ。
あれくらいふっと出てきて、なんでもない芝居をして、
印象的な人もいませんよ!
もともと音楽の人だからか、
俳優としての仕事に、常に一歩引いたようなところがあって、
その距離のとり方に、すごくセンスがあるというか。
まあねえ、ああいう風に生きていけるのは、
うらやましいけど才能のある人だけなんでしょうねえ。

でも『医龍』の岸田一徳さんはちょっと怖いですね。
いや、芝居的な怖さじゃなくて、
体調とか大丈夫なのかな?
レーニン廟のレーニンみたいな質感があってね。
なんか画面に映るとちょっとドキドキする。
そんなことはないですか?
私だけ?

ロシアから日本に帰ったとき、
一年半ぶりくらいで母親に会って、
ものすごい老けっぷりに心臓が止まりそうになったことがあったんですけど、
ああいう感じ。
岸田一徳さんとだったら結婚してもいいわと、常に思っていただけに、
電気仕掛けの死人みたいな彼をみてしまうと、
もう怖くて、怖くて。
目をそらしてしまうのです。

あれはどうなんだろう・・・。
ああいう演技の新境地なのかな。
岸田さん演ずる大病院の院長先生は、
生きながらにしてもう感情的には死んでいるような、
死んでいるのになおかつ浮き浮きと活動しているような、
そういう怪物的なところを表現したのか?
本当にこわいんだもの。

そんなことを考えながら、『医龍2』を見まくって、
はっと気がついたら4時になってる!

ああああああ
何にも出来なかったよ。







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初雪

今日、朝起きたら、雪が積もっていました。
ロッテルダムは東京とおなじくらい雪が降らないから、
たまに降るとうれしいのです。

年末のオランダは、よく

どーん!


という、銃声のようなものが聞こえます。
こんな雪の日でさえ、さっき聞こえました。
いちいちビクッとして、事件性をそこに求めてしまうのですが、
単に、新年の爆竹や花火の試し打ちをしているみたいですね。
今はたまに聞こえるから事件かなと一瞬思うのですけど、
31日に近づくにしたがって、爆発音はどんどんあちこちで増えていき、
戦争かなという騒ぎになってきます。
で、大晦日はもう、すごいの。
空襲ですよ。

私ももう年なのか、
日本の静まり返った正月が懐かしいな。
紅白歌合戦が見たい。
見たいのよ~

そんなことを、静かな雪の日に考えたのでした。



賢くあれ

今日の朝、台所で彼氏のお昼のサンドイッチをつくっていたら、
彼がそこにやってきました。
そして、何の用事もないのに、
ブラブラ私の周りをうろついているのですよ。
あー、こりゃ、くるなあと思ったら、案の定。

「あーあ。今日、仕事行きたくないなあ・・・。
 どうしようかなあ・・・。」


こんなことわざわざヒモの私に言わないでも、
本当に行きたくなければ勝手に職場に電話をかければいいわけですが、
そこはあれですよ、
子どもがお母さんに「今日学校行きたくないなあ・・・」といってみるのと一緒です。
許可を求めているわけですな。
男の人って、こういう小学生マインドを一生ひきずって生きていくんですかね?

「もうねえ、仕事が退屈で。
仕事したくなくて。
外が寒くて、出て行きたくなくて。」

切々と訴えるのです。

うーむ。
気持ちはわかりすぎるほどわかるけどねえ。
そういえばね、彼、昨日も似たようなこと言っていたのです。
働きたくないって。
そういえば、一昨日も。
あら、毎日?
なにか、そういう時期らしくてね。

私はこういう言葉を聞くと、
常に、

「じゃあさ、さぼっちゃいなよ!」

という言葉が喉元までぐっと出かかります。
だって自分が実際そうやって生きてきましたからね。
人にばっかりストイックさを要求できやしませんよ。
それで実際言っちゃったりもするんですが、
こういうこと、実は言っちゃいけないんだろうな、とも思うのです。
男がこういう場で求めているのは、
自由人の無責任な発言ではなく、

「さあさあ、つまらないこと言っていないで、出かける時間ですよ。」


という、お母さんのあと押しなのだろうと。
それを与えてやるのが、
パートナービザをとってもらった人間の義務だろうと。
私の中の大人がささやくのですよ。

最近私は、司馬遼太郎の『功名が辻』という小説を読みました。
山内一豊という大名の千代という奥さんが、えらく賢かったというお話です。
それによると、男の一生なんていうものは、奥さん次第。
良い奥さんの腕にかかれば、凡庸な奴でも24万石取りの国持ち大名になれるぜ、みたいな。
私は影響を受けましたね。
もともと『女の道』的な読み物には、やけに弱いのです。
以前、山本周五郎の『日本婦道記』にもはまって、
何回も読んじゃいましたし。
やっぱりねえ、一介のヒモにも五分の魂。
寄生している人間を盛り立て出世させるような、
立派なヒモになるためには、
やはり古来からの日本女性の生き方というのは、大変参考になるものなのですよ。

そこで、最近はよく、
「千代だったらどうするか?」
という観点から、彼氏に対応しているのです。

そりゃあね、
山内一豊は戦国武士、彼氏はサラリーマン。
山内一豊は日本人、彼氏はオランダ人。
山内一豊は体育会系、彼氏はオタク系。
一見似たところの全然ないふたりですが、
そこはそれ、根本的なところでは奇妙に一致しているふたりなのです。
まあねえ、男なんて全世界で皆おなじようなものなのでしょうね。

で、今日、
会社に行きたくないと、胸中の思いを可憐に吐露されたとき、
さてなんて返事しようかな、
千代だったらなんて言うかな、
と考えて、しばらく無言で彼氏を見つめていたのです。

「ほほほ、おかしな一豊様。行きたくなければ行かなければいいではありませんか。」
一豊の負けん気を見越して。

「ほほほ、おかしな一豊様。男の方はお仕事が命。本当は行きたいのでございましょう」
一豊の機先を制して。

「ほほほ、おかしな一豊様。わたくしと一緒に物乞いをなさりたいの」
一豊の尻をたたいて。
いずれにせよ、何でもないような、のんきで明るい顔をしていることでしょう。
そうやって千代は男の心から不安や恐怖をとりのぞいてやるのです。

いや、違うな。
千代はそんなこと言ったりしませんね。
千代はね、いつも一豊に質問をするのです。
良い質問は良い答を生む。
実に狡猾な一連の誘導尋問をもってして、一豊を遠隔操作するのですよ。
そう、ダイレクトな意見を夫にたたきつけるのは、
可愛げがなく、女らしくなく、
妻の分限を超えた、良くないやり方でした。
日本の賢妻の本領は、愚夫に方向を指し示す良問にあり。

そうそう、質問ね。
質問、質問・・・。

ええと・・・・。

良い質問・・・。




質問か。・・・・

いやあ、無理だわ。
私には。

それで、何を言っていいかわからないまま、
からっぽ頭で彼氏を見つめていたのです。

ちょっとうす笑いしてる顔が、よっぽどバカっぽかったのでしょうね。
彼は、なんだか悲しそうにしていましたが、
「君は今日、これから寝るのかい」
と聞いて、うらやましそうにため息をつき、
コートを着込んで、
自主的に会社に出かけていきました。

雄弁は銀、沈黙は金。
めでたし、めでたし。

極寒・ハイ

ここ2,3日、ロッテルダムはとても寒くって、
ベランダの空っぽの鉢植えにたまっていた水が凍りつき、
それが朝だろうと昼だろうと夜だろうと溶けないような日々です。

こんなときは家にこもって、
暖房をガンガンたいて、
つねにウトウトしながら本でも読んでいたいのですが、
時は師走。
暇なばっかりの私も、いろいろと忙しいのです。

彼氏の父親も私の父親も12月が誕生日で、
クリスマスプレゼントと一緒に彼らの誕生日プレゼントを買わなきゃいけないし、
浜の真砂ほどもいる彼氏の親戚から次々とクリスマスカードが届き、
お返しのカードを買って、それをまた出して、
自分の実家にもプレゼントを贈って、
そのうちに彼氏の両親が結婚40周年ということで、
わたしのうちに写真撮影がきたりして。
あれやこれやと、用事が目白押しなので、
今日もやはり、スーパーや百貨店や郵便局をチャリで駆け巡ってきました。

それにしても、やっぱり外は寒い。
ぬくぬくと暖かい部屋のなかから外に出ると、
どんなに厚着していても、ブルブルふるえて、
歯を食いしばりすぎて、あごが痛くなるほど。
これがもうねえ、ひどくつらいのですよ。
たるーんと油断した身体に、
寒気が薄皮を切り刻むみたいに堪えるのです。

ところが、これもいつものことですが、
この最初のつらい時間を通り過ぎると、
キーンと凍った空気と冷たい風が、
だんだん良い感じになってきます。
身体がポカポカ暖まってきて、
熱いくらいになってくるので、
逆に顔にあたる零下の風が心地よいのです。
自転車を漕いでいると、
気分が高揚してきます。
仮に、極寒・ハイとこの現象を名付けてみました。

極寒・ハイになると、
心は晴れ晴れ、気持ちは軽々、
胸に冷たい空気を吸い込んで、咳き込んでは笑う、
みたいな頭の悪い心境になります。
でも、すごく健康で強くなった気がするし。
で、暖房のついたうちに帰ると、
ほおおっと息をついて脱力して、それはそれで天国なのです。
生ぬるい空気に、ちょっとイライラしたりして。
まあ、そのうちに寒くなってきて結局温度を上げるんですけど、
そうするとまた出て行くときにつらいんですよね。

だから、夏にしろ、冬にしろ、
むしろずっと外にいたほうがいいのかもしれない。
人間、ちょっと厳しいかな、と思うくらいの環境にいたほうが、
楽しくもあり、生き生きとするのかもしれませんね。

 この極寒・ハイは、
人生における諸々にも、そのまま当てはまるものだと思います。
たとえば、絶食をすると、2日目くらいまではつらいけど、
3日目くらいからすごくハイになってきて、楽しいって言いますよね。
ダイエットしすぎて拒食症になっている人は、
周りから見ると非常に辛そうだけど、
自己感覚はキビキビして、アクティブなのだといいますし。
マラソンする人とかも、
多分本人の自己感覚としては、
走りすぎてむしろ楽しいのかもしれませんね。
じゃないと、あんなに走る意味がわかりませんもんね。
ああ、それがあれか、ランナーズ・ハイ。

私の友達で、まだ演劇やっている人たちも、
お金はないわ無名だわで傍から見るとつらそうでも、
案外、極寒・ハイになっているのかもしれないな。

私は人種として、大抵のロシア人が大好きなんですけど、
彼らはもう、あらゆる意味での極寒・ハイですよね。
実際、近しくつきあってみると、あの人たちはもう、明るかったですよ。
あんな国に生まれても、日本人の2,5倍は人生が楽しそうでした。
そう考えると多分、日本に足りなかったのは極寒かもしれませんね。

まあそんな日本も、そろそろ外に出る時間が近づいているのかもしれないなあと、
最近は思ったりもします。
日本の現状というのは、
いま、ぬくぬくと暖かい部屋から、寒い廊下の一番端に出たとこくらいで、
まだ先に零下の街路が控えているくらいのところかなあ。
98年にバブルがはじけて、自殺者が3万人を超え、
それからずっと3万人以下になっていないそうですけど、
それは多分、いまが一番つらいときだからでしょうね。
背中はぞくぞくするし、皮膚はまだ鍛えられていなくて、
冷たい風に萎縮して体中の筋肉が引きつって。
なのに、どんどん、どんどん寒くなって。
でもね、大丈夫です。
日本にはこれから、極寒・ハイが待っているのです。
超寒いとは思いますけど、
身体はポカポカ、
心は軽やかになってきます。
楽しくて面白い人も、むしろ極寒の中でこそ増えてくると思います。

なんてことを、郵便局で震えながら考えていたのでした。
あー、師走かあ。
寒いなあ。
ロッテルダムで、二度目の年末です。
そういえば、オランダは、極寒・ハイ的にはどの辺りにいるんだろう。
まだ部屋の中なのかな。
それとも、もう外なのかな。
ちょうど廊下に出たところ?
安定した国って言うのは、わかりにくいですなあ。
ロシアは、外から部屋に帰ってきたばかりの頃、
ほおおおっと脱力して、
身体が楽になった時かなあと思うんですけどね。
プロフィール

Kachika

Author:Kachika
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